2007年 03月 02日
【最後の小さな抵抗】 |
3/2午前9:00.....私、自宅にいます。
本来ならここではなく、学校の卒業式の保護者の席に座ってる筈でした。
息子はここに来て、小さい抵抗をしています。
「卒業式って絶対行かなきゃいけないの?行く本人が行きたくなくても、無理矢理でも行かなきゃいけないものなの?友達には、約束すればいつでも会えるし、卒業式に出なくても卒業はできるし、卒業証書は郵送もしてくれるらしいし......」
昨日は朝からリニューアルの準備で夫と東京に行き、家に戻って来た時には自転車がなく連絡をとっても返事こず.......これは1時間後に息子から来たメールの内容です。
実は前日から問題はあった様で.....
3年生の男子を対象とした「頭髪検査」が今年は異常に厳しいらしく「前髪は眉毛の上、横は耳についてはいけない、後ろは襟にかかってはダメ」というのです。卒業3日前に突然言われた生徒達なので、検査にひかかった男子は殆どだったようで...(坊主以外は全員らしいので当然ですが)。OKを貰う為、家に戻り散髪をした後、わざわざ学校に行く事になっていました。そんなこんなは一切知らない私は『伸びたから...』の言葉だけで、息子を散髪に連れて行きその後、学校の門の前で戻ってくるのを待っていました。たしかに「あら?さっきこんなに短く切ってきたかしら?」と思いましたが、あまり気にせず、家に戻りました。
それから、「ご飯だよ」と言っても部屋から出てこなく、ただ「いらない」の返事。
何をふてくされているのだ........そこに担任の先生からの1本の電話。
「すいません、さっき変な切り方をして....」
私「え!あんなに短かったのに、切られたんですか?」
「はい、もうちょっと切らないと......あの.....」
私「そうでしたか、だから戻って来てから不機嫌でご飯も食べずに制服のまま寝ています。でも学校の方針なんだからしょうがないですけれど、何も卒業を前にやる事でしょうか」
「私もそう思います。警察の拷問の様で申し訳ありません.....」
私「わかりました。もしかしたら朝行かないと言うかも知れませんが、卒業式は行かせます」
こんなやりとりは、当の息子は知らず朝まで眠っていた様です。
案の状、次の日の朝「頭が痛いから、予行練習行かない」「わかったけど、卒業式は出るんだからね」「出るよ」がいなくなる前の会話です。
さて、何処へいったのか......
割と知っていた様で知らなかった交遊関係、友達への連絡先......
おろおろして当然の私でした。こんな時、変な事ばかりしか思い浮かばないのは当然でいした。でも主人は違っていました。
「う......ん。何やってんのぐらいのメール出せば」
私と正反対の考えを持っている主人は、散歩に行きたがるレオンを連れて外へ行ってしまいました。
どんなメールを送ろうか......行くのが当たり前.....行きなさい.....行くのに決まってるでしょう。私だけだったらこんな返事で、精一杯だったでしょう。
散歩から戻った主人は
「あ〜やめやめ。卒業しないんだったら、大学もあきらめるんだろう、入学金も戻ってこないけど、自分で決めたんならそれでいいじゃないか!」
どうしてこんな事になったのでしょう、最後の最後に.....はたしてこんな抵抗をしているのは、うちの息子だけなのか.....。
担任に主人が電話した所、学校の方針に疑問を持っていた先生は、私達を納得させるのだはなく、卒業できる単位は全部取っているし、式に出なくても卒業は出来る事を言ってくれたようです。そして、友達にもそれとなく連絡をつけ、居場所や今何を考えていそうなのかを聞いてくれました。
たった1日のつまらない出来事で、将来が変わってしまうにはあまりにもちっぽけな
事ですが、多感なこの年に不条理なしかもプライドを傷つけられた行為は、息子にとって私達以上に納得のいかない出来事だったと思うのです。
「もう、式に出ないならば、ストレス解消にスノーボードにいかないかってメールしてみれば」
私「へ!ボード?」それは....あまりにも.....いいんですかそんな返事で。
さっきまで深刻だったのに、どうする事もできない空気だったのに。
何か思いっきり重い肩の荷が....スッと降りた様な気になりました。
その後、息子からの返事は押されると思ったら、かなり引かれて戸惑ってしまったようで、すぐに送られてきました。
「ボード?いや...「行きなさい」みたいなのが普通あるんじゃないの?」
私「人生のたった1日の事だよ。親としてはもちろん出てほしいけど....。式に出ないならボード行こうよ」
正直今回の事、母親なら当然ですが、式には出てほしかったし、友達との最後の思い出も作って欲しかったのです。形だけですが....父親とは違う気持があって当然ですよね。
ましてや、反抗期がかなり続きワガママなのかなんなのか....子供の成長と思いながらも不安があり、で、こんな出来事があったわけですから。
卒業を控え忙しいであろう先生も心配して何度も電話をくれました。
当の本人も肩?の荷が降りたのか、絵文字付きで、自宅から自転車で1時間かかる祖母の家に向かっているとメールをくれました。
その後、私達2人は担任の先生と学校の近くで会い、これまでの経緯、これからの事、を話ました。3年勤めたこの学校を3月いっぱいで辞め自分の出身大学に戻るそうです。
以前も書きましたが息子はいい先生に巡り会えています。今回もこの先生にではなく、学校に抵抗しているのです。最後にこう先生は言って下さいました。
「○○君とはこれからも連絡して行きたいです。進路変更を相談された時も、頑張っていたようですし、箸にも棒にもかからない点数ならあきらめろと言ったけれど、努力の結果、道は開けたんですから。自分も知りたい事が色々あるし、気持が落ち着いたら、電話1本くれるそれだけでいいです。証書は来週にでも取りに来て下さい。他の先生に何か言われたら、僕が○○君は具合が悪かったから欠席したんですと言いますから」と笑顔で言ってくださいました。
もう着る事のない制服だけが、息子の部屋にかかっています。
見ると涙が出てくるので、見ないようにしています。
終わり方が普通と違う我が家の卒業式の日です。
息子が決めた事がいいのか、悪いのか.....
あとになって思い出すのはどちらなのでしょう。
人生は1度きり、悔いがなく歩いていってほしい。
生きていく意味も、自分で知っていってほしい。
--------------- これが母からの息子へのエールです ---------
by leonk
| 2007-03-02 11:00
| 家族